フレンチキュイジーヌラボ

プロと学ぶフランス菓子と料理のアレやコレ

パイ生地の作り方 パート・フィユテ・オルディネール

サクサクのパイ生地。フランス語だとパート・フイユテまたはフイユタージュ。お菓子はもちろん料理にもよく使われる生地です。フイユテを作るには手間と時間がかかるため、レストランやビストロなんかでは作らずに業務用のものを買うことが多いです。

難しそうだと敬遠しがちなフィユタージュですが、実際作ってみると市販のパイ生地とは違って層の多さの違いに驚きます。気をつけるポイントが多いのは確かですが、一度作ってみる価値アリです!

f:id:carolemaisonneuve:20200417163844p:plain


 

パイ生地(パート・フイユテ)ってどんな生地?

 

小麦粉の生地に油脂を加えてもろく口どけのよい状態に仕上げた生地です。パートブリゼやパートシュクレはグルテンを生まないように作りますが、フイユタージュは適度にグルテンが形成された生地(デトランプ)とバターで層を作り、板状の生地が何枚も重なるように作っていきます。

発祥の由来はいくつかあって、料理見習いが練り込みパイ生地(パートブリゼなど)を作るときにバターを入れ忘れ、あとでバターを包んで焼いたら層状に膨らんだパイができたという失敗から生まれた説や、フイエという人が考案してフイユテと名前が似ていたからフイユタージュになったという説も。調べたらもっと出てきそうですよね。

 

パイ生地の作り方は3種類

 

パイ生地の作り方はいくつかあり、代表的なものは3つです

  • フイユタージュ・オルディネール(折り込みパイ生地)

デトランプでバターを包み折り込んで作る方法。帯状に伸ばしては折りを繰り返して層を作っていきます。一番オーソドックスに知られている作り方ですね。焼き上がりはもろくて口どけも良いです。水分の多いものを包んで焼くと、生地が水分を吸ってしまい硬い一枚の生地になってしまうので使い方には要注意です。

  • イユタージュ・アンヴェルゼ(逆方パイ生地)

「アンヴェルゼ」とは逆さまにしたという意味。その名の通りオルディネールの反転バージョンでバター生地でデトランプを包み層を作っていきます。アンヴェルゼを作るときはデトランプを少し柔らかめに作ります。バターの層がデトランプよりも多くなるので、よりパリパリした食感になります。ただ、表面にバターがくるのでベトつきやすく作るのが難しい生地です。

  • フイユタージュ・ラピッド(速成パイ生地)

「ラピッド」は速いという意味で、上の二つの生地よりも短時間で作れる生地です。よく冷やした粉とバターを合わせながら刻んでいき、水分を加えて生地玉を作り何回か折り込んでいきます。練り込みパイ生地とフィユタージュの中間のような生地で、サクサクはするけれど口どけは二つと比べると劣る。生地の性質としては練り込みパイ生地に似ているので、水分の多いクリームを流しても食感は失われにくいという特徴があります

 

作り方

今回は一般的な作り方のオルディネールのレシピを紹介します。生地をしっかり休ませることと、伸ばす時の室温に気をつけましょう。

 

Recipe★フィユタージュ・オルディネール

無塩バター...220g

〜デトランプ〜

強力粉...180

薄力粉...120g      *強力粉と薄力粉は合わせてふるっておく

冷水...140g

ワインビネガー...10g

塩...3g

無塩バター...30g(溶かす)

f:id:carolemaisonneuve:20200417164650p:plain

 

〜デトランプを作る〜

下準備 : 水に塩を入れて溶かす。溶けたらビネガーを入れてかき混ぜ冷蔵庫で冷やしておく。

 

1.ふるった小麦粉に塩とビネガーを混ぜた液体を入れ、溶かしバターも加える。木ベラなどで大きく混ぜ水分をいき渡らせる。

f:id:carolemaisonneuve:20200417164755p:plain

2.まとまってきたらボウルから取り出し、軽くこねる。ねり終わった生地の表面はボソボソしているくらい。

f:id:carolemaisonneuve:20200417164910p:plain
f:id:carolemaisonneuve:20200417164916p:plain

3.生地に十字の切り込みを入れ正方形に整えたらビニール袋に入れるかラップをして1時間休ませる。

f:id:carolemaisonneuve:20200417164949p:plain

〜バターの形を整える〜

1.冷えてかたいバターを叩いて15cm大の正方形にする。ビニール袋やクッキングペーパーなどで大きさの目安を作っておくとキレイに仕上がる。デトランプのベンチタイムが終わる頃に作る。

f:id:carolemaisonneuve:20200417165022p:plain
f:id:carolemaisonneuve:20200417165028p:plain

 

〜パイ生地を折る〜

1.デトランプをバターより一回り大きくなるように伸ばしていく(23cmくらいの正方形にする)

f:id:carolemaisonneuve:20200417165058p:plain

2.バターを生地の上に置き、生地の角と角を合わせるように包んでいく。バターが出ないように完全に生地をかぶせる。この時、空気も入らないようにキッチリ包む。

f:id:carolemaisonneuve:20200417165119p:plain
f:id:carolemaisonneuve:20200417165127p:plain

3.バターが出ないように生地の合わせ目をきっちりつなぎ。麺棒で軽く押してバターと生地を密着させる。この時生地の厚さが均等になっていることがポイント。

f:id:carolemaisonneuve:20200417165205p:plain

4.打ち粉をして横幅の3倍くらいの長さになるように伸ばしていく。生地の手前3分の1を折り、余分な粉をハケで落としておく。反対側の3分の1も折って三つ折りにする。伸ばすときに生地がべたついていると破れてしまったり、うまく伸びなかったりするので打ち粉必要だが、振りすぎに注意

f:id:carolemaisonneuve:20200417165751p:plain
f:id:carolemaisonneuve:20200417165446p:plain

5.生地を90度回転させて、今度は横幅の4倍になるように伸ばしていく。手前の生地の端を真ん中に来るように折り、反対側も同様に折る。余分な粉を落として、手前から半分に折ったらずれないように麺棒でしっかり押す。(4つ折り)ここまでで1セットとする。

ビニール袋入れるかラップをして冷蔵庫で1時間休ませる。

f:id:carolemaisonneuve:20200417170251p:plain
f:id:carolemaisonneuve:20200417170256p:plain


6.休ませたらもう1セット3つ折りと4つ折りを繰り返して1時間休ませて生地が完成。

 

パイ生地を作るときの注意点

 

    • 温度

デトランプに使う粉と水の温度。合わせる前にきちんと冷やしておくこと。材料を冷やすことでグルテンが形成しにくくなります。道具類も一緒に冷やして置きましょう。

加えて室温も要注意。バターが溶けて生地となじんでしまうと層ができず、焼いても膨らまないかたい生地になってしまいます。室温は18度前後が目安です。もし室温がそれ以上の場合はよく冷やしたまな板や鉄板の上で伸ばすと良いです。

    • 打ち粉

伸ばすときに振るう打ち粉は最低限にしましょう。多すぎると生地の水分を吸ってしまい乾燥してやすくなってしまいます。余分に付いてしまった粉はハケなどで落としながら折り込みましょう。

    • 生地を休ませる

生地を伸ばしていくとグルテンの弾力が強くなって伸ばしづらくなります。急いでいるからといって無理に伸ばすと生地が破れてしまいます。きちんと休ませてグルテンをゆるめ、柔らかくなったバターを固めることで失敗しづらくなります。

 

フイユタージュは応用力の高い生地

 

フイユタージュはとても応用力の高い生地です。デトランプを発行きじにすればクロワッサンやパン・オ・ショコラに。中のバターにココアを混ぜて折り込めばフイユタージュ・ショコラに。折り込む際にグラニュー糖をふればパピヨンやサクリスタンになります。作るのは手間ですし、簡単ではないですがぜひマスターしたい生地ですね。