フレンチキュイジーヌラボ

プロと学ぶフランス菓子と料理のアレやコレ

シュー生地の作り方と膨らむ理由

デザートとしても前菜としても使えるシュー生地は、レストランでもよく作ります。周りの友人たちにとってはシュークリームって家で作れるものじゃないと思っていたりするようですね。確かに作ってみると膨らまなかったり、オーブンから出すとしぼんでしまったり、ちょっとしたことで失敗しやすい生地かもしれません。

シュー生地がなぜ膨らむのか?しぼんでしまうのはなぜか?を理解して、おいしいシュークリームをたくさん作って食べちゃいましょう。

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シューってどんな生地?

「シュー」はフランス語でキャベツという意味。まん丸に焼き上がった形がキャベツに似ていることが由来です。生地に甘みはなく中に入るクリームなどで甘いお菓子にしたり小さく焼いてオードブルやアミューズに使うこともあります。

カスタードクリームがたっぷり入ったシュークリーム。香ばしいプラリネクリームを挟んだパリブレスト。クレーム・シブーストで飾り付けた豪華なサントノーレ。シャンパンのお供にもなるグージェール。全てシュー生地からできています。

ではなぜシュー生地は膨張剤などを入れないのに膨らむのでしょうか?

水分とバターが合わさった液体を沸騰させ、そこに小麦粉を入れると糊のような粘りのある生地が出来上がります。それをオーブンなどで焼成すると生地中の水分が蒸発し風船のように膨らみます。このような生地の状態を「糊化する」というのですが、「糊化」というのは言い換えると「α(アルファ)化」といってデンプンが水分を吸収して加熱することで粘りがでる状態のことです。そして小麦粉のデンプンを糊化させるには条件があります。

それはデンプンを87℃以上に加熱するということ。

シュー生地を焼成前に鍋で火を入れるのは、膨らませるために欠かせない重要な工程ということになります。糊化した後の生地を放置しておくと、生地が劣化し膨らみが悪くなるので出来上がったらなるべく早く焼くことをオススメします。

豆知識

●デンプンのα化とβ化●

例えばお米。炊く前は「β(ベータ)」という状態で水分を含まず硬い状態です。この状態で食べたりすると人間は消化できずお腹を壊します。ここに水分と熱を加えてやることで「α(アルファ)化」し美味しく食べれる状態になるんですね。ですが「α(アルファ)化」したお米を長時間置いておくとまた「β(ベータ)化」してしまいます。カピカピご飯です。これは元に戻ったのではなくデンプンが老化してしまった状態で、再度水分と熱を加えても「α(アルファ)」要するに食べれる状態にはなりません。

 

作り方

水分が沸騰した鍋に小麦粉を入れる際、必ず火を消すか火から外すこと。卵を一度に入れすぎないことがポイントです。

Recipe★パータ・シュー

水...100g

牛乳...100g

バター...80g

塩...1g

薄力粉...80g

強力粉...30g

卵...200g(Mサイズ卵約4個分)

※強力粉がない場合は薄力粉のみ110gでもOK

※バターの代わりにショートニングやマーガリンでも作れるが風味は劣る

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下準備:

オーブンは200℃に余熱。小麦粉はふるっておく。卵は常温に戻しておく

作り方:

1.水、牛乳、塩、バターを鍋に入れ火にかける

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2.沸騰したら30秒間火にかけ、火からおろし小麦粉を一度に加えて木べらなどで混ぜ合わせる

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3.ひとかたまりになったら再び火にかけ(弱火〜中火)鍋肌に広げるように混ぜながら、水分を飛ばしつつ、生地に火を入れていく。鍋底に薄い膜が付くようになったら火から外す

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4.生地をボウルに移し、ほぐした卵を4〜5回に分けて加えては混ぜる。木べらで生地をすくってみて、生地が三角形に残る程度の硬さになったらできあがり

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※卵に火が入らないようにする為必ずボウルに移す

 

5.絞り袋に生地を入れ、直径5〜6cmくらいの大きさになるように絞り、溶き卵をハケで塗る。最後に霧吹きで表面を湿らせてから190℃のオーブンで10分、170℃に温度を落とし20分焼く。

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レシピの補足

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卵の分量は基本的に全部入れるものだと考えて良いと思います。よく生地の状態を見て卵の分量を調節するなどのレシピをよく見かけますが、それだと毎回生地の仕上がりに違いが出てしまいます。卵を全量入れても生地が固ければ水分を飛ばしすぎてしまったということです。

水分調整のために卵を追加し過ぎると、焼き上がりの生地は膨らみますが薄く柔らかくなってしまい表面のザクっと感は出ません。レシピの分量はできるだけ変えないほうが失敗することも少ないと思います。

生地の中の水分がまだ残っている、または表面が焼き固まっていないとオーブンから出したときにしぼんでしまいます。タイマーが鳴っても少しオーブンの中に置いておくくらいでもちょうど良いかもしれません。この辺は使っているオーブンと相談しながら焼いてみてください。

出来上がった生地はできるだけ早めに焼いてしまう方が良いです。時間がたつと糊化したデンプンが元に戻ってしまい膨らみが悪くなってしまいます。保存するなら焼いてから冷凍の方が好ましいですが、生地のまま冷凍もできます。凍らせた生地を焼く時は解凍せず凍ったまま焼きましょう。焼成時間は少し多めに取ると良いと思います。