ジェノワーズの作り方はケーキ作りの基礎の基礎。ひと口にケーキと言ってもいろんな生地を使いますが、ジェノワーズの作り方にプラスアルファするだけで別の生地になるので、この作り方と原理を覚えてしまえば無敵です。作り方も材料もシンプルゆえにしぼんでしまうなどの失敗もおこりがち。ふっくらで柔らかいジェノワーズを焼くために気をつけるポイントを見ていきましょう
ジェノワーズとは?どんな生地?
空気をたくさん含ませてふっくらと焼くことでスポンジ状になっている生地のこと。ショートケーキなどのホールケーキの土台に使われているとてもポピュラーな生地ですね。基本的な作り方は2つあり
共立て方=ジェノワーズ
別立て方=ビスキュイ
と名称が分かれます。スポンジ生地の総称をビスキュイと呼びますが、厨房だとジェノワとビスキュイは用途が違うので分けて呼ぶ事が多いように思います。
使う材料は卵、砂糖、小麦粉のみで作られるシンプルなもので、そこにバターやココア、アーモンドパウダーなどを入れて様々なバリエーションの生地になっていきます。
●ジェノワーズがフワフワでしっとりになる理由●
卵にはかき立てると気泡を含む性質があり、製菓材料の中で最も泡立つ食材です。砂糖は卵の泡立ちを助けよりきめ細かく安定させ、さらに保湿や甘みを与える役割も担っています。泡立てた卵だけを焼いても、卵は柔らかいのですぐしぼんでしまいます。そこに小麦粉を加えることでグルテンが形成され、これが壁や柱の役割を果たし、卵が含んだ気泡を逃さず焼いてもしぼまない状態になってくれるのです。卵、砂糖、小麦粉のぞれぞれの特性を活かすことで、フワフワでしっとりとした生地になるんですね。
作り方
まずは共立て法から。卵を泡立てるときに人肌まで温めること、粉を入れた後に気泡をつぶさないようにかき混ぜることがポイントです。
18cmセルクル1台分
卵...150g(Mサイズ3個分)
小麦粉...90g
グラニュー糖...90g
下準備...小麦粉はふるっておく。オーブンを170℃に予熱し、湯せんを用意する(40〜50℃)
1.卵とグラニュー糖をボウルに入れ、湯せんにかけながら人肌くらい(約40℃)になるまでかき混ぜながら温める
2.温まったら湯せんから外し、ハンドミキサーなどでしっかり泡立てる
3.全体が白っぽくなり、ミキサーの羽ですくったとききじがモッタリとしてあとが残る程度の硬さになったら泡立て完了


4.ふるった粉を入れ粉っ気がなくなりツヤが出るまでゴムベラなどで混ぜる


5.焼型に流し込み、170℃のオーブンで30分焼く
6.焼き上がったら軽く衝撃を与え余分な水分を抜き、ケーキクーラの上で冷ます。
作り方
続いて別立て法。卵黄をしっかり泡立てる反面、卵白は泡立てすぎないことがポイント。卵白を柔らかく滑らかなメレンゲにすることで、卵黄とうまく混ざって焼いたときによく膨らんでくれます。
18cmセルクル1台分
卵黄...4個分
グラニュー糖(卵黄用)...20g
卵白...100g
グラニュー糖(卵白用)...40g
レモン汁...2g
小麦粉...60g
準備 : 粉はふるっておく。オーブンを170度に予熱し、湯せんを用意する(40〜50℃)
1.ボウルに卵黄とグラニュー糖を入れ湯煎にかけながらハンドミキサーで泡立てる。人肌まで温まったら湯煎から外し、白っぽくモッタリしたら泡立て完了


2.別のボウルに卵白とグラニュー糖をひとつまみ入れハンドミキサーで泡立てていく。荒い泡が増えてきたらレモン汁を入れ泡立てながらグラニュー糖を2〜3回に分けて加えていく。ツヤが出てツノが立つくらいまで泡立ったらホイッパーに持ち替えてかき混ぜ、気泡の大きさを整える


3.1の卵黄にメレンゲを4分の1ほど加えて混ぜ合わせる。混ざったらメレンゲのボウルに戻し混ぜ合わせる


4.小麦粉を一度に加え、粉っ気がなくなりツヤが出るまでボウルの底からすくうように混ぜ合わせる
5.焼型に流し170℃のオーブンで30分焼く
6.焼き上がったら軽く衝撃を加えて余分な水分を抜き、ケーキクーラの上で冷ます
レシピの補足
粉を入れてかき混ぜる時は20回までなど、回数を決めると良いです。いつまでも混ぜていると気泡が潰れ膨らまない原因になります。混ぜ終わった生地は素早くオーブンに入れ焼きましょう。時間がたってしまうと気泡が潰れることになり、これもまた膨らまない原因になってしまいます。
卵白にレモン汁を入れるのはアルカリ性の卵白を少し酸性に傾けてあげることで、泡立ちの安定を図るためです。クレーム・タータがある場合はそれでも大丈夫ですし、レモン汁がないという人は入れなくてもOKです。
ビスキュイの方は天板などで焼いてフラットな状態で使うことが多いように思います。四角いケーキを作るときやロールケーキによく使いますね。もちろんジェノワーズを天板で四角く焼いても良いですし、ビスキュイを丸く絞って焼いても良いです。自分の使いたい形にして焼いてみてください。