フカフカの生地にたっぷりの洋酒を染み込ませたフランス菓子。ババとサヴァラン。そっくりな二つのお菓子ですが、違いはあるのでしょうか?
実はほぼ同じものなんです。
それぞれの歴史を振り返ってみましょう。
ババとは?
ババ・オ・ラムというケーキのこと。その名の通りラムシロップをたっぷり含ませたババ生地にクレーム・パティシエールを乗せたケーキです。ダリヨル型という細身のプリンカップのような型で焼きます。
このお菓子はポーランドの国王がパン(ブリオッシュ)がパサパサしてて美味しくないから、なんとかしてよって当時宮廷で働いていたパティシエのストレールさんにお願いしたのが始まりです。ストレールはブリオッシュをサフランの風味をつけた甘口のワインに浸しクレーム・パティシエールにレーズンを加えたケーキを提案しました。国王の愛読書の「千夜一夜物語」の主人公にちなんでアリババと名付けたと言われています。現代においても高級な材料ばかり使ったお菓子だったんですね。
その後ストレールはパリに移り自分の店を作ります。そこで甘口ワインをラム酒に変えブリオッシュの形をコルク型にするなど改良を加え自分の店で売るようになりました。それが今もフランスで愛される「ババ・オ・ラム」なんですね。ちなみにパティスリー・ストレールでは今もパリでババ・オ・ラムを売っています。約200年も営業しているなんてすごい。行ってみたい。
サヴァランとは?
ババ・オ・ラムをベースに作られたケーキ。ババ生地にキルシュシロップや好みのリキュールシロップを含ませ、クレーム・ディプロマット(パティシエールとシャンティを合わせたもの)とフルーツを乗せたケーキです。丸く真ん中に突起があるサヴァラン型で焼きます。
パティスリー・ストレールで修行をしていたジュリアン兄弟というパティシエがパリでお店を開きます。2人はババ・オ・ラムを改良し新しいお菓子を作り出しました。まずババ生地の形をコルク型から王冠の形へ。シロップもキルシュシロップに変更。クリームとフルーツをのせたデザートはあっという間に大人気になります。人気すぎて他のパティシエにパクられまくったようで、2人はすごく悔しい思いをしたとかしないとか。
名前の由来は著名な美食家ブリア・サヴァランに捧げたデザートだったので、「サヴァラン」と名付けたようです。誰かのためにデザートや料理を作ってその人の名前をつけるってフレンチではよくあるんですが、オシャレですよね。
作り方 サヴァラン
ということで今回は季節のフルーツ乗せたサヴァランを作りたいと思います。
■サヴァラン生地
生イースト...13g
水...125g
準強力粉...250g
グラニュー糖...25g
塩...5g
卵...150g
バター...70g
■クレーム・ディプロマット
クレーム・パティシエール...60g
生クリーム(8分たて)...40g
■シロップ
水...400ml
グラニュー糖...200g
リキュール...適宜(今回はキルシュを使います)
好きな季節のフルーツ...3〜4種類
ナパージュ...80g
下準備...小麦粉はふるっておく。バターはとかして粗熱をとる。型にバターを塗っておく。
■パータ・サヴァラン
1.イーストを水で溶く。ミキサーボウルに粉を入れ、真ん中をくぼませそこに塩とグラニュー糖、溶いた卵とイーストを合わせた水を入れる
2.ゴムベラで全体を軽く混ぜ合わせる
3.ミキサーにフックを装着し全体が馴染むまでこねる
4.溶かしたバターを加えさらにこね、滑らかに伸びるようになったらこねあがり
5.生地が倍の大きさに膨らむまで発酵させる(温度は30度、30分くらい)
6.生地のガスを抜き絞り袋につめ、型の6分めくらいまで絞り入れる
7.10〜15分くらい2次発酵させ型の8分目くらいまで膨らんだら200℃のオーブンで全体に焼き色が着くまで焼く
■クレーム・ディプロマット
1.クレーム・パティシエールを作る→こちら
2.生クリームを8分立てにし、パティシエールと合わせる
□仕上げ
1.鍋にグラニュー糖と水を入れ沸騰させる。沸騰したら火を弱めてフツフツと軽く沸騰している状態に保つ
2.鍋にサヴァランを入れシロップを染み込ませる。染み込んだら引き上げ網に乗せ余分なシロップを落とし、お好きなリキュールを塗り冷蔵庫で冷やす
3.冷えたらナパージュを表面に塗り、くぼみにクレーム・ディプロマットを乗せフルーツを飾り出来上がり