フレンチキュイジーヌラボ

プロと学ぶフランス菓子と料理のアレやコレ

薄力粉銘柄6種類を徹底比較

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スーパーでよく見かける小麦粉といえば、「フラワー」「バイオレット」「カメリヤ」の3種類ですね。どれも小麦からできているのに何が違うんじゃ?とお菓子初心者の頃は思っていました。

今回はお菓子の材料の基礎の基礎。小麦粉について掘り下げていきたいと思います。 

小麦粉とは

言わずもがな小麦を挽いて粉にしたものです。一言に小麦粉とはいえ、小麦の違いで出来上がる粉の質が変わっていきます。軟質小麦→薄力粉、硬質小麦→強力粉、中間質小麦→中力粉といった具合。

日本ではタンパク質の含有量が少ないものを「薄力粉」、多いものを「強力粉」その中間のものを「中力粉」と分類しています。これは粉に含まれるタンパク質の量で適した用途が変わってくるからですね。

それぞれのタンパク質の含有量と用途は以下の通り

薄力粉→7〜10%  天ぷらの衣、お菓子

中力粉(準強力粉)→10〜12% うどん、たこ焼き、ハード系パン

強力粉(最強力粉)→10〜13% ソフト系パン、パン全般

小麦粉の成分として「灰分」というものがあります。これはミネラル分のことで小麦の風味の強さだと思っていよいと思います。少ないと軽やかな風味に、多いと香り高い仕上がりになります。

フランスだとこの灰分の含有量で小麦粉の種類が分けられているようです。名称というより番号で分類されています。アメリカはもっとざっくりしていますね。日本でいう薄力粉はcake flourだと思うのですが、大体のレシピでAll Purpose Flourが使われることが多い気がします 。直訳すると何にでも使える小麦粉。お菓子にもパンにもこれを使います。アメリカっぽくていいですね。

 

お菓子に使う小麦粉

焼き菓子には主に薄力粉が活躍します。お菓子用の薄力粉だけでも結構な銘柄数があります。それぞれに特徴があるし何を選んだらいいかわからんというのが正直なところだと思います。

というわけで、手に入る薄力粉でジェノワーズの作り比べをしてみました。分量や作り方、焼く温度や時間は全て同じ。柔らかさや味、食感などは私の主観ですが薄力粉選びの参考にしてください。

試作レシピ

ケーキリング3号(直径9cm)使用

全卵...1個

ラニュー糖...30g

薄力粉...30g

膨張剤などは使っていません。

 

スーパーバイオレット タンパク質6.2% 灰分0.35%

よく売られているバイオレットからタンパク質を抜いた超低タンパクな小麦粉。ふわふわのスポンジ生地を作るにはうってつけな粉ですね。

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●粉の状態●  香り:薄い  色:白い  振るう前:ダマになりやすい

●焼き上がりの状態●  とても軽い仕上がり。フワフワしていて持っただけでシュワっと潰れそう。タンパク質が少ない為、卵が抱き込んだ気泡を潰さず焼き上がり後に一番高さが出た。

●食べた感想●  食感もすごく軽い。口どけも良く生地が詰まっている感じは全くない。粉自体の小麦の風味が弱いので、粉の味というより卵の風味が強く出た印象。 

エンジェライト タンパク質7.8% 灰分0.36%

焼いてもいないのに粉の香りがめちゃ豊かです。ほんのり甘いような。バイオレットとタンパク質の含有量は同じ。

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●粉の状態●  香り:ほんのり甘さを感じる  色:白い  振るう前:ダマになりにくい

●焼き上がりの状態●  軽くて程よく安定感のある硬さ。スーパーバイオレットと同じくらい焼き上がりに高さが出た。

●食べた感想●  とても口どけがよく、一番甘みを感じた。優しい甘味でクドくなく口の中からスッと消えていく感じ。粉自体の風味がとても豊かで卵臭さはほぼ感じない。

ファリーヌ タンパク質8.7% 灰分0.39%

北海道産の小麦100%で作られた薄力粉。国産物にこだわる人には嬉しい粉ですね。しっとりふわっと仕上がるそうです。さていかに。

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●粉の状態●  香り:少し弱い  色:白い  振るう前:ダマになりにくい
焼き上がりの状態  水分を十分感じるが持った感じは軽い。程よい柔らかさで安定感も良い。上の二つよりも高さは出なかった。

●食べた感想●  ある程度のギッシリ感はあるがモッサリはしておらず口どけが良い。今回試した6種類の中で最もしっとりしている。粉の風味もちゃんとあるのだが、後味に若干タマゴが顔を出す。

ドルチェ タンパク質9.3% 灰分0.34%

これも北海道産小麦100%の小麦粉。スポンジにもクッキーにもオールマイティに使える。粉の風味は強め。

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●粉の状態●  香り:強い  色:白い  振るう前:とてもダマになりやすい

●焼き上がりの状態●  柔らかく程よく空気と水分を含んでいる感じ。唯一真ん中が凹んだ。高さはさほど出ない。

●食べた感想●  軽やかな食感で歯ごたえがスワッとする感じ。粉の風味が強く甘みも十分伝わってくる。タマゴ臭さなどは感じさせない。

エクリチュール タンパク質9.2% 灰分0.43%

ドルチェとタンパク質はほぼ同じですが、灰分が多いせいか香りが格段に良い粉です。どちらかというとスポンジ生地のようなフワフワ感というより、ザックリとしたスコーンやクッキーに向いている粉です。

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●粉の状態●  香り:とても強い  色:少しクリーム  振るう前:ダマになりにくい

●焼き上がりの状態●  硬いまではいかないが、しっかりしていて安定感がある。焼いている最中もそこまで膨らまない。高さもほとんど出なかった。

●食べた感想●  ギッシリ感は強め。口どけは悪くはないが多少モサっとするのが気になる。粉の風味や旨味がすごく伝わってくる。タマゴの臭みなどは全く感じない。

クーヘン タンパク質10.2% 灰分0.55%

薄力粉と言っていいのかと思うほどのタンパク質の量。灰分も多いのでガリッと固めに仕上がります。これもスコーンやクッキー向けの粉ですね。

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●粉の状態●  香り:スッキリした香り 色:少しクリーム  振るう前:ダマになりにくい

●焼き上がりの状態●  かなりしっかりした安定感。少し重みすら感じる。これもほぼ高さは出なかった。

●食べた感想●  ギッシリ感がすごい。口の中の水分を全て持っていかれる感じ。粉と卵の風味をバランスよく感じられる。他の6種類と比べると粉の風味が独特。スパイスなどと合わせるようなお菓子だとしても粉が負けない感がある。

まとめ

今回は6種類をピックアップしてみました。タンパク質の含有量が多くなるほど膨らまなくなるのは面白かったです。ちなみにタンパク質含有量、最少と最多を比較するとこれだけ差が出ました。f:id:carolemaisonneuve:20200916193840p:plain

それぞれの粉で味にも特徴があって、選び方は本当に作る側の好みだなと思いました。クーヘンはスポンジ生地とは相性があまり良くなかったのですが、パンデピスなどのツウ好みのお菓子を作るには最強なのではと思います。

粉の特徴を活かしつつ、自分の好みに合った粉を探してみてくださいね。